2018/07/24
個人再生を利用する場合、結局のところ、債務はいくらまで減額されるのでしょうか。
結論としては、「最低弁済額」と「清算価値」のうち、金額の多い方が、あなたが弁済しなければならない額ということになります(給与所得者等再生の場合は、可処分所得の2年以上という基準も出てきます。この点については、また別の機会にご説明します。)。
最低弁済額に関しては、債務の額(住宅ローンを除きます。)に応じて、最低いくら払わねばならないという金額が民事再生法により決められています(231条2項3号、4号)。具体的には、次のとおりです。
(借金の総額) (最低弁済額)
100万円未満 借金の総額と同じ
100万円~500万円未満 100万円
500万円~1500万円未満 借金の総額の5分の1
1500万円~3000万円未満 300万円
3000万円~5000万円未満 借金の総額の10分の1
この最低弁済額よりも、次の清算価値の方が高額になる場合には、その清算価値を弁済していくということになります。
すなわち、清算価値とは、現預金・生命保険の解約返戻金・自動車の査定額・退職金見込み額の8分の1・その他20万円以上の財産などを合計して算出します。
ここで、なぜこのような清算価値といった概念が生じるのかにつき説明します。
個人再生手続をとると、債権者の立場からすると、自己の持つ債権が相当額減額されてしまい、また支払方法も、長期の分割払いへの変更を余儀なくされます。
一方、債務者の立場からすると、破産と異なり、財産の換価処分は必要とされません(住宅資金特別状条項を用いると、マイホームも手放さずに済みます。)。
そのような構図となりますので、もし債務者が多額の財産を所有しているにもかかわらず、それを処分しないまま大幅な債務の減額等が認められるとしたら、到底債権者の理解は得られないこととなります。債権者としては、個人再生手続の中で再生計画に沿って弁済される金額以上の財産があるのであれば、債務者には個人破産を利用してもらって配当を得たいと思うはずです。
そこで、個人再生に対する債権者の理解を得るために、少なくとも、破産した場合の配当率(破産債権額に対する実際の配当額の割合のことです。)以上の弁済率での弁済が必要であるとされているのです。このことを指して、清算価値保障原則といいます。
ご相談者の中には、当初お聞きしていた事情と異なり、生命保険を複数かけていたことが後ほど判明し、その解約返戻金がかなりの高額に及んで清算価値が跳ね上がったため、再生計画案の見直しを迫られるという方がおられます。ご相談の初期から、ご自身が所有している財産関係につき正直にご回答下さい。
個人再生をご希望の方は、神戸で、自己破産をはじめ多くの債務整理実績のあるシャローム綜合法律事務所までご相談下さい。