消滅時効とは

長年支払っていなかった債務につき、突如債権者から督促が来たがどうすればいいだろうか、という内容のご相談を受けることがよくあります。
借入を行った時の住所からお仕事などで一時他へ移られ、また戻ってきたときなどにそのような通知が届いたりすることが多いようです。
このような場合、消滅時効の援用が可能な場合もありますので、不用意に債権者への支払を行うことは危険です。

消滅時効とは、債権者が債務者に対し請求等をせずに、法律で定められた一定期間が経過した場合に、債権者の法的な権利を消滅させる制度です。
すなわち、金融機関から借入をしたものの、5年間以上一切請求もされず、債務者の側においても一切返済をしていなかった場合、当該金融機関に対して消滅時効の主張をすると、その金融機関はもはや債務者に対して返済する旨請求することができなくなるのです。

それでは、どのようにして消滅時効を主張(法律用語で、これを「援用(えんよう)」といいます。)するのでしょう。特段その方法が法定されているわけではないのですが、援用したことを明確化して後々の証拠として保管するため、債権者に対して弁護士作成の内容証明郵便を送ることにより、消滅時効の援用を行うこととなります。

かかる通知を受けた債権者は、時効期間が完成していることを認めるのであれば、その後特に連絡はしてきません。内容証明発送後、大体3週間程度音沙汰がなければ、時効の完成を債権者が争わないという姿勢であろうことが推測されます。一方、時効中断事由(後述します。)が存在するとして、債権者が時効の完成を争う場合は、当該中断事由の存否につき攻防するか、あるいは中断事由の存在を認め、別途債務整理の手続きに進むこととなります。

ここにいう時効中断事由とは、請求、差押・仮差押・仮処分、承認です(なお、仮の中断事由として、催告というものもあります。)。詳しくはまた別の機会にご説明しますが、債権者としては、上記「承認」を得るため、「今払えるだけでいいから、とりあえず1000円でも入れてくれ。」といった話をしてくることがありますので、要注意です。あなたがたとえ1000円でも返済してしまうと、それは承認したこととなってしまいますので、もはや消滅時効の援用ができなくなってしまいます。もし債権者からそのような申し入れをされている場合は、当法律事務所までご相談下さい。

ところで、消滅時効の完成にどれほどの年月が必要かといいますと、個人間の借入は10年ですが、サラ金やカード会社からの借入は5年で時効にかかります。
ただし、たとえ債権者が貸金業者であっても、すでに判決を取られている場合には、そこから時効が10年間延長されますので注意が必要です。

また、債権者が信用金庫、信用組合、農協、商工中金、労働金庫、住宅金融支援機構(旧住宅金融公庫)などの場合は、時効は5年ではなく10年となります。これは、信用金庫等は営利を目的とした組織ではないため、商事消滅時効(商法522条)の適用がないからです。